サンキョーさんにリフォームしていただいた家に住んで2ヶ月が経ちました。
その間に何人ものお客さんが訪れてくださったのですが、皆さん、一足玄関に入ると木の香りに感嘆の声をあげ、リビングに入ると檜と杉で設えたたたずまいと木目の美しさ、そして檜のフロアの肌触りに感動してくださいます。
その賛美の目でリビング見回した後、視線を右に向けると、また「いいね!」の声。
古い梁や天井を活かした二つの和室。その和室の赤杉の障子越しに眺める庭。奥の間の書院を通し薄められた光に照らされている床。この一連の空間が「いい」らしいのです。
その声や表情を目の当たりにしている私の何とも言えない気恥しさをご想像ください。だってこれは私のアイディアではなくサンキョーさんの「作品」なんですから。私はサンキョーさんに「古くて黒い天井と染を活かしてリフォームしてください。」と依頼しただけなのですから。
でも、ちょっと自慢したくなる私がいるのも事実です。
確かに住んでいて心地よいのです。なんと表現してよいやらわかりませんが、「空気」が心地よいのです。
不快指数120%の今年のこの長雨でも、檜のリビングのフロアの肌触りのなんと気持ちのよいことか!二つの和室の畳は湿気を含み何度も拭き掃除をし、除湿器をかけて、湿気対策に大童でしたが、リビングはいつも快適なのです。
しかし、あるときリビングの赤杉の戸が動かなくなったのです。理由のわからないまま何日か過ごしているうちにこの湿気のせいかもしれないと思い至り、除湿してみました。すると元のようにスムーズに動くではありませんか!木が生きている、呼吸していると初めて実感した瞬間でした。赤杉の戸は湿気を含んで膨張していたのでしょう。
この建材を選択してくださったのは、サンキョーさんです。私の家の有り様(ありよう)を理解し、色々な素材、建材に精通なさっているからこその選択だったのだと改めて感じ入りました。
人間の体に「良いもの」に囲まれて暮らせる贅沢を、いま私は存分に味わっています。また「良いもの」は私を変えてくれました。ずぼらな私が毎日掃除をするようになったのですから。良い素材で丁寧に作られているものですから、此方も丁寧に心を込めて扱うようになるのですね。そうすると見えないものが見えてくるようです。
例えば檜の壁です。日が経つにつれて色が変わるとは以前から聞いていたのですが、一日のうちでも朝と夜ではその色、艶が変わるのです。朝は清々しいサラっとした艶ですが夜は琥珀のような深い透明感を醸し出します。少なくとも私にはそう見えるのです。これは楽しい発見です。「丁寧に暮らす」とは、こういうことかもしれませんね。
友人達も「また命の洗濯をしに行かせてね。」と言ってくれるぐらい「スピリチュアル」で「心地よい」空間を創ってくださったサンキョーさん。今後共どうぞよろしくお願いします。そして本当にありがとうございました。